磁石の種類
磁石 | 磁界を発生させる源となる物体のことを指す。一般に良く知られている特性として、鉄などを引き寄せる、地磁気に反応して方位を指し示すなどがある。 |
永久磁石 | 外部から磁界や電流の影響を受けることなく磁石としての特性を比較的長期に保持する物体のこと。反して鉄などは電流や磁界の影響下においてのみ磁石としての特性を示すため、一時磁石と呼ばれる。 |
マグネット | 英語における磁石のこと。 |
希土類磁石 | 希土類元素を含有した化合物のなかで、磁石としての特性を持つもの。Nd2Fe14BやSmCo5、Sm2Co17などが知られる。最大エネルギー積が高く、従来からあったフェライト磁石や、アルニコ磁石に比べて、小さい寸法形状から大きな磁力を取り出すことが可能。 現在さまざまな分野での採用が進みつつある。 |
レア・アース | 希土類元素の英訳。 |
アルニコ磁石 | アルミニウム、ニッケル、鉄の他に、コバルト、銅、チタンなどを少量含む磁石。MK磁石としてはじめて実用化されたもの。 |
フェイライト磁石 | 酸化鉄にバリウム、ストロンチウム、鉛などを添加した化合物。安価な材料を使用し、ほどほどの特性が出るため、現在でもコストの抑えたい場合の磁石応用分野で使用されている。 |
ネオジム磁石 | Nd2Fe14Bで示される化合物。残留磁束密度が大きく、大きなエネルギーを取り出すことができるが、熱変化にはサマリウム系磁石ほど強くはない。 |
サマリウムコバルト磁石 | SmCo5、Sm2Co17などで示される化合物。保磁力が比較的強く、表面が腐食につよい、温度変化に対して安定であることなどが特長。 |
等方性磁石 | どちらの向きにも着磁することのできる磁石。 |
異方性磁石 | 決められた向きにのみ着磁することのできる磁石、等方性磁石に比べて特性がよくなる。 |
電磁石 | 電流の作用を受け、磁石の性質を示すもの。コイルを巻き電流を流すことで実現することが多い。流す電流を制御することで発生する磁力を変えられることが特長。 |
磁石の原料
ネオジム | ネオジム磁石の原料のひとつ。希土類元素に属する。元素記号はNd。 |
サマリウム | サマリウムコバルト磁石の原料のひとつ。希土類元素に属する。元素記号はSm。 |
磁石の特性その他
磁力 | 磁石同士や、磁石と磁石にひきつけられる(引き離される)物の間に働く力。 |
残留磁束密度 | Brで表される。飽和磁束密度の状態から磁化力をまったく取り去ったときの磁束密度。磁石の基本的な性能指数のひとつとなっている。 |
保磁力 | Hcで表される。外部磁界の影響によって、磁石の持つ磁束密度が打ち消されるときの、外部磁界の大きさ。大きければ大きいほど、外部磁界の影響下でも、磁石としての機能を保つことができる。磁石の性能指数のうちのひとつ。 |
最大エネルギー積 | (BH)maxで表される。適切な形状に加工したときに、その磁石から取り出すことができる最大のエネルギーの大きさ。磁石の性能指数のひとつ。 |
パーミアンス係数 | Pcで表される。磁石形状と透磁率で決まる値で、実用上の磁石の性質を決定する数値。 |
磁性体 | 磁気的な作用を受ける物体。反磁性、常磁性、強磁性、反強磁性に分類される。 |
強磁性体 | 外部の磁場の影響で強い磁性を示す物体。磁石、鉄、一部ステンレスなど。 |
常磁性体 | 外からの磁場の影響があっても、磁性をほとんど示さない(例:磁石にほとんどひきつけられない)物質。銅やアルミなど。 |
透磁率 | 磁界の強さHと磁束密度Bの関係を表す比例定数。大きいほど磁力を取り出しやすい磁性材料であることの目安となる。 |
磁気回路 | 磁石が発生する磁束により様々な効果を利用することができ、その効果を得たいところに磁束を効率よく存在させる必要がある。電気回路の電流の換りに磁束の流れをコントロールしようとする物を磁気回路と呼ぶ。 ヨークとして用いられる鉄などの強磁性体は、磁束を通しやすい特性を持ち、このようなものを利用して磁石だけでは得られない磁気特性を引き出す製品を当社では磁気回路製品と総称している。 |
ヨーク | 継鉄や鉄芯部ともいう。磁力を効率よく取り出すために使用する材料。鉄や一部のステンレス材料を用いる。 |
漏れ磁束 | 漏洩磁束ともいう。磁石表面、もしくはヨーク表面から流出する磁束のこと。磁石の作用を得る(エネルギーを取り出す)ために意図的に用いられた空隙部位と比べて、意図しない部分で発生する流出分を指す。 |
減磁 | 磁石の持つ磁束がさまざまな要因で減る現象。 |
磁界解析 | 磁場解析とも言う。目標とする磁気回路が所望の磁界を形成しているかどうか、計算機を使用して予測すること。この値と現実の測定値との比較を行い、さまざまな検討を行う。 |
磁石の製造・加工法
研磨 | 磁石の基本的な加工方法。磁石は硬くてもろいため、通常の切削、切断が困難である。そのため、セラミック砥石で、表面を削り、所望の形状に整形することになる。 |
表面処理 | メッキや、塗装など。特にネオジウム系の磁石の防食対策として施す。 |
着磁 | 磁石材料に磁石としての特性を与えるための作業。一般には着磁器と呼ばれる電磁石を用いて行う。静磁界着磁とパルス磁界着磁の2種類がある。 |
静磁界 | 時間的に変化しない磁界を用いて着磁する方法。電磁石を用いるがそのときの電源が直流電源である。 |
パルス磁界 | 瞬間的に大きな電流を電磁石に流すことで、磁石を着磁する方法。ネオジウム磁石やサマリウム系磁石の着磁にはこちらをよく用いる。 |
鋳造 | 溶かした材料を鋳型に流し込んで整形する製造法。 |
焼結 | 原料の粉を押し固め、焼くことで整形する製造法。 |
元素記号一覧
B | ホウ素 |
O | 酸素 |
Al | アルミニウム |
Ti | チタン |
Fe | 鉄 |
Co | コバルト |
Ni | ニッケル |
Cu | 銅 |
Ba | バリウム |
Sr | ストロンチウム |
Pb | 鉛 |
Nd | ネオジム |
Sm | サマリウム |